正則ならば逆行列は一つしか存在しないの意味

正則行列の定義
n次行列Aに対し, XA=AX=Eとなる行列Xが存在するとき,A を正則行列という.
このようなXAの逆行列という.
(Eは単位行列.)

Aが正則ならば,逆行列は一つしか存在しない.実際X,YがともにA逆行列ならば,

    \[X=XE=X(AY)=(XA)Y=EY=Y\]

となる.よってAの逆行列をA^{-1} で表す.


よく考えれば分かることだが,今回の記事の趣旨によってできる限り詳細に説明していく.

  1. まずX=XE の部分だが,単位行列Eは掛け算でいうと1のようなものでどんな行列にかけても結果が変わらない行列である.
    つまり式は成り立つ
  2. XE=X(AY)は正則行列の定義をみれば明らかだが,AY=Eであるので式は成り立つ.
  3. X(AY)=EYも2と同様であり.最後のEY=Y も1と同様であるので成り立つことが分かる.
  4. “よってAの逆行列をA^{-1} で表す.”の部分はXA=AX=Eを,X=A^{-1}  で置き換えるとA^{-1}A=AA^{-1}=Eとなり,E は掛け算でいうところの1として考えれば,A^{-1}=\frac{E}{A}=A^{-1}であるので成り立つことがわかる.
[追記]2018/06/02
よってAの逆行列を〜からの部分はコメントで指摘されたとおり論理的におかしいですね.
線型代数入門では.”Aが正則ならば,逆行列は一つしか存在しない.実際X,YがともにAの逆行列ならば〜”となって上のような式の変形が示されて,その後によってAの逆行列をA^{-1}という説明が行われています.これは私がちゃんと流れを掴んで読んでいなかったせいです.この斜線の箇所は明らかにおかしいです.申し訳ありませんでした.

「参考書籍」
「線型代数入門」 齋藤正彦

正則ならば逆行列は一つしか存在しないの意味」への2件のコメント

  1. 最後の「よってAの逆行列をA^{-1}で表す.」の部分についての説明はかなり難があるというか,何が「よって」なのか全く説明されていないと思います.

    この式変形は「正則行列Aが与えられたときにAの逆行列が存在して,『しかも一意的である』」ということを示しています.Aから一意的に定まるものであるから,Aを用いた「A^{-1}」という記号を用いることができる,というのが本文の最初に挙げられている主張の意味でしょう.

    もっと言えば「E/A」という記号が全く定義されないまま使われています.行列においてこのような書き方を私は見たことがありませんし,一般的であるとも思えません.一般的でない記号を使うのであれば事前に定義すべきです.

    もうひとつ.「線『型』代数入門」の著者は「齋藤正彦」が正しいです.

    1. 訂正しました.明らかにおかしい内容を指摘してくれてありがとうございました.

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